ノン子、ヤサグレてたなぁ。映画「ノン子36歳(家事手伝い)」を観た。

私は小学生のころ、中学受験に備えて学習塾に通っていた。しかし成績は、可もなく不可もなくというレベルだった。一方、年子の兄は成績優秀。小さいころから大人との受け答えがしっかりしていたことなどもあり、兄は両親や祖父母から期待されていた。そのため、私は小さいころから劣等感を抱き、特に学業に関しては中学受験の時点でめっきりやる気をなくしていた。

そして大学生のころ。私はACIDというバンドにボーカリストとして加入した。そのバンドは「東京ドームでライブを行う」という大きな目標をかかげ、精力的に活動をしていた。しかし数年間の活動を経て、私は肺の病気を理由にバンドを脱退。その後、バンドは解散にいたった。

私の今までの大きな挫折といえばこのふたつがあげられる。しかし、早い段階で学業への興味がなくなったことで音楽にのめり込むことができたし、ACIDとして活動したことで創作活動においてはもちろん、人としてたくさんのことを学ぶことができた。今振り返るとそれらの経験は、私のコアな部分に大きな影響を与えている。

映画「ノン子36歳(家事手伝い)」の主人公ノン子からは、常に挫折感やヤサグレ感が漂っている。しかし、ところどころで屈託のないかわいらしい笑顔を見せる。その笑顔からノン子の温かさが感じられ、とても親近感が湧いた。おそらくノン子を見た人は「屈折した人」という印象を持つ人が多いと思うが、私にはそれらが「独特な味」に感じられ、人としての深みを感じた。

挫折は決して悪いものではないのである。

それにしても、友達にノン子みたいな人がいたらおもしろいだろうなぁ。